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VRの手術活用はこれからのスタンダードに?その実用例とメリットとは

VRの手術活用はこれからのスタンダードに?その実用例とメリットとは

VRの医療業界での活用方法は多岐にわたります。たとえば直接的な治療に活用したり、あるいは手術において活用したり。

VRを活用した手術は、一見未来の手術風景のように見えるかもしれません。でも確かに今、現実としてVRの手術への活用がされ始めているんです。

そこでここでは、VRを手術に活用した実例と、それをすることのメリットについて紹介していきます。

VRを用いて腎臓がんの手術を

VRの手術においての活用例としてまず挙げられるのが、VRツール開発企業の共同経営者でもある、国際医療福祉大学大学院医療福祉学研究科准教授の杉本先生立ち合いのもと、腎臓がんの手術にVRを活用したという例。

手術を担当する医師はゴーグル型の端末を着用。そのゴーグルの中には、患者さんの臓器の状態が映ります。
ゴーグルの中の臓器は当然VRなので、肉眼では確認しづらい部位もしっかりと確認することができ、それによってより安全に手術を進めることが出来るようになるのです。

こうした実手術への活用の動きも少しずつ感じられるようになってきていますが、現時点ではまだまだ実手術への活用例というのは、世界中を見渡しても多くは聞きません。

しかし、以下のような形での手術への活用は、世界中でドンドン広まってきているんです。

VRを使って手術トレーニング

VRを使っての実手術はまだまだハードルが高いとしても、トレーニングへの活用であれば決してそこまでハードルは高くはないのではないでしょうか?

VRを使って3Dで立体的な臓器を作り出し、それをもとにして手術のシミュレーションを行います。

そうすればどこにどんな脅威がある可能性があるのかという事をより具体的に理解出来るようになりますし、実際にどう手を動かしていけばよりスムーズかつ安全に手術が出来るのかということが、より明確にわかるようになります。

また、現実の手術では失敗がゆるされませんが、VR上での手術トレーニングであれば失敗が許されるでしょう。

人は失敗から学ぶことの方が多いといいます。たくさんの経験を積み、たくさんの失敗をして成長を促すうえで、VRを使った手術トレーニングというのはすごく効果的でしょう。

実際こうしたシステムは、フロリダやミネソタにあるセンターで活用されています。

手術計画を立てる上でVRが活用されることも

手術トレーニングに活用できるほどの正確で立体的な臓器があれば、手術の計画を立てる際にもすごく役立ちます。なので実際、手術計画を立てる上でVRが活用されているということもあるのです。

たとえば立体的でリアルな臓器の映像をチーム全体で見ることが出来れば、それによって「ここにはこのくらいの時間がかかりそう」とか、「ここの作業ではこんなことに気を付けるべきだ」ということが、よりリアリスティックに説明出来るようになります。

そうした頭の中の準備がよりリアルにできている状態で手術に臨める方が、より安全に手術が進む可能性は高いでしょう。

手術においてVRを活用することのメリットは現実感の高さ

このように、実手術だったり、あるいは手術トレーニングだったり、手術計画のための活用だったり、その形は様々ではありますが、少しずつVRを手術のために活用するという例も増えてきています。

なぜこうしたVRの手術への活用の動きが増えてきているのかというと、それは当然、手術においてVRを活用することにメリットがあるからでしょう。

では、VRを手術に活用することのメリットはどこにあるのでしょうか?

先ず一つ挙げられるのは、何をするにおいても現実感が高くなるという点です。

たとえばトレーニングをするにしても、脳内だけでイメージしてトレーニングをするのと、イメージ上の臓器が目の前にある状態でトレーニングをするのでは、現実感の高さは雲泥の差になります。

頭の中でイメージして作成した臓器よりも、VR内で再現した臓器の方が現実の臓器の状態に近いものを作成できるでしょう。イメージだけではどうしても自分の都合の良いように作成してしまうこともありますから。

イメージの完成度が高くなれば、当然トレーニングの充実度も高くなります。

充実度が高いトレーニングをした方が効果が高くなるに決まっています。

現実感の高さというのは、VRならではの大きな武器なのです。

VRを手術トレーニングに用いることでフィードバックもしやすくなる

ことVRを用いた手術トレーニングにおいては、手術トレーニングのフィードバックがしやすくなるというメリットもあります。

一般的な手術トレーニングは、誰か自分を導いてくれるトレーナーと一緒にトレーニングをしないと、自分のイメージしている手術が正しいかどうかはわかりません。

また、仮に自分を導いてくれるトレーナーと一緒にトレーニングをしたとしても、実際の臓器を使えるわけでもないでしょうから、自分が何をしているかが伝わりづらいところがあるでしょう。だから、的確で正確なフィードバックを受けることは難しいことが想像に難くありません。

でも、そこにVRがあればどうでしょうか?

VRがあれば、自分が何をしているかは、その仮想臓器やそこに向けて動く自分の手を見れば、誰が見ても一目瞭然になります。

その分、的確で正確なフィードバックを受けやすくなるのです。

また、VR内でのそうした自分の手の動きなどは、動画データとして残すことだって可能な場合があります。動画データとしてそうした映像を残しておけば、その場で一緒に自分を導いてくれるトレーナーの方と一緒にトレーニングをしなくても、あとでその動画データを見てもらうことで、どこがどうダメなのかを正確に指示してもらうことが出来るようになります。

それはお互いにとって時間を有意義に使うことにつながるでしょう。

VRの手術活用は時間短縮につながる

VRを手術に活用するメリットとしては、時間短縮につながるということも挙げられます。

たとえば手術においては、肉眼では見づらい臓器の状態を、VRを用いて見ることによって、よりスムーズに手術を進めることが可能になります。

手術計画を立てる上でも、平面図でいろいろ説明して、なかなか意思の疎通が取れない中で話し合いをしていくよりも、立体図で誰の目にも状態が分かりやすいような中で話し合いを進めていく方が、はるかに余計な時間をかけないで済みます。

医療従事者においては、時間というのはすごく大切なものでしょう。

ただでさえ一般的な勤め人と比べると異常な勤務時間になりがちですし、勤務時間云々はおいておいたとしても、無駄な時間を削減して、その分の時間を詰め込んでやらないといけないことがたくさんあるでしょう。

だから、VRを活用することで時間を削減できるというのは、すごく大きなメリットだといえるのです。

VRの手術活用は取り組みやすいところから

現実的にVRを実手術に活用しようと思ったら、いろいろと乗り越えないといけない問題が多々出てきます。特に日本では、一筋縄ではいかないこともあるでしょう。

しかし、たとえば手術計画を立てる上で活用するという程度であれば、手術計画を立てる上でプロジェクターやパワーポイントを使って何かを説明するのと、特に違いはないのではないでしょうか?

そういったところからであれば、VRを手術に活用するということも比較的に取り組みやすいはずです。

まずはそうしたところから取り組んでみて、少しずつ活用できる範囲を増やしていくというのもアリなのではないでしょうか?

そうして小さなところから少しずつ日本の医療業界が変わっていけば、こうしたVRのような便利なテクノロジーを、もっと使いやすい業界になっていくはずです。

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